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千尋とホスト教師3 [side 要先生]
[side 要]
この学園の生徒は、俺が見つめると顔を赤らめたり、うっとりとした瞳で見てくるもんだ。
なのに、有栖川千尋はゲラゲラ笑いだした。
───は? 何なんだ? コイツは。
ホストっぽいから笑っちまっただぁ!?
馬鹿にしてんのか……。
俺の機嫌が急降下したのに気付いたのか、
「だって、先生。綺麗な顔してるのに……」
と、今度はしおらしく褒めてきた。
涙目で、上目遣いで。
───おい!ヤバいだろうが!!その顔は!
有栖川千尋の方こそ、綺麗な顔をしている。
自然なままの黒髪、涙が絡んだ睫毛。黒い瞳。
この学園には、手入れされた容姿の美少年がけっこう多い。
有栖川千尋はナチュラルな美形だ。
まじまじと顔を見ていたら……
俺の顔を見上げて、ふわりと微笑んだ。
───その笑顔に鼓動が跳ねた。
媚を売るでもない、作り笑いでもない。
自然で綺麗な笑顔だった。
「……わかった。もうやめろ」
子供相手にマジでどぎまぎしてしまった。
照れ隠しにくしゃっと頭を撫でる。
カラコン、やめようかな……。
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