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千尋とチャラ男と腐男子2
休憩時間、チャラ男が俺に質問してきた。チャラ男は美村晶帆 という名前だ。
「アリスちゃんって眠り姫なんでしょ?」
「は?」
「三年も意識不明だったって聞いたよ~。眠り姫だって、みんな噂してたのよ」
眠り姫って……。三年寝太郎じゃないのか。
「はぁ。まあ」
他の生徒は聞き耳を立てて、俺と美村の会話を聞いてるみたい。
確かに、三年も意識不明だった奴なんて、接しにくいよなぁ。
「どんな感じ?」
この美村は遠慮なく聞いてくる。見た目チャラいけど、この手の無遠慮はキライじゃない。
「一回死んで、生き返ったなって感じ」
「アハ。そっか~」
美村と雑談してたら、一人の生徒が寄ってきた。
「美村くん。ちょっと無神経すぎない? 有栖川くんは大変だったんだよ」
「え~。園ちゃん」
「や、俺は全然気にしてないし。むしろ、気遣われる方が逆に遠慮しちゃうっていうか」
コイツは園田聡 といって、背は俺より低い。(やった!)
目がクリクリして、茶色いゆるふわな髪型の女の子みたいな生徒だ。
「ってゆって、園ちゃん、アリスちゃんとおしゃべりしたかったんでしょ?」
「う……」
あ。そうなの?
「アリスちゃん、可愛いからさぁ。みんな話しかけんの、ためらってんのよ~」
「可愛いとか言うなよ。俺、全然普通だし。普通に話しかけてくれたら、嬉しいよ」
俺は園田に笑いかけた。
「む、無自覚受けだ! いい! 先月来たアイツとは大違いだ!」
「あいつ?」
美村が、あちゃーみたいな顔をした。
「やっぱりツボっちゃったね~。アリスちゃん。園ちゃんは腐男子だからね」
「普段死? なにそれ?」
「アリスちゃんみたいなの見て、萌え死にしちゃう~みたいな?」
「燃え死に? なにそれ恐い」
「やめてよ。美村くん。僕なんて無垢な妄想で楽しんでるだけだよ。リアルに美少年を入れ食いしてる君とは違うんだから!」
「美少年を入れ食い!? なにそれも恐い!」
全然話についていけないまま、チャイムが鳴って授業が始まった。
───ジェネレーションギャップか。言ってる意味がよく分からん。
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