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眠り姫とキス2
保健室でぐっすり眠っていたわけだが……なんか息苦しい。
というか、口が塞がってる?
───てゆうか、なんか、ヌルっと入ってきた!?
なにこのデジャヴュ!!??
カッと目を開いたら、俺の上に男が乗っかってた。
やっぱりコレ、キスされてるやないかーい!!!
「んんんッ!!」
のしかかってる奴の胸をドンと叩いても、寝起きで碌に力が入らない。
チュクリ、と唾液が絡む卑猥な音が保健室に響いた。
「んっ! ぅん、ん……や!」
きつく舌を吸われる。俺の唇を覆うように、相手の唇が吸い付いてきた。ガチのディープキスじゃねえか!!
「ん、むぅ……んんっ!」
ちくしょっ!
俺の口の中で暴れる舌に、ガリッと思いきり噛みついた。
相手が怯んだスキに付き飛ばして、ベッドから転げ落ちた。ちょっと肘をぶつけたが、かまっちゃいられない。
俺は一目散に保健室から飛び出して、廊下を走って逃げた。
怖ぇよ! 変質者かよ!?
恐怖で心臓がバクバクいってる。
追ってくる気配は無いけど、走り続けていた俺は、曲がり角で思いっきり誰かとぶつかった。
「うわっ!!」
「おわ! アリスちゃん!? 大丈夫?」
ひっくり返りそうになったのを、支えてくれたのは美村だった。
「どったの? もうお昼だから迎えに行こうと思ったら、アリスちゃんから飛び込んできてビックリしたよ~」
どさくさに紛れて美村が俺をぎゅーっと抱きしめてきたので、思いきり足を踏んでやった。
「死ね! 変態ッ!!」
「ぎゃー!」
俺にキスした奴は金髪だった。
閉じた瞼と長い睫毛、額に掛かった金髪が目の前にあって、整った感じの顔をしていた。
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