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高槻先輩と仏陀1
「ごめん! ほんと、ごめんなさい」
俺と美村と園田は三人で食堂に来ていた。
俺は美村に平謝りしてる。
金髪ってとこに過剰反応して、思いっきり足を踏みつけちゃったから。
「ひどいわぁ。傷つくわぁ。ただのスキンシップなのにぃ」
「ごめん」
保健室とは逆方向から来たんだから、絶対にこいつじゃないのは分かってる。
あれは完全な八つ当たりだった。
「有栖川くん。こんな奴に謝る必要ないよ。あんなのセクハラだよ。今だって、謝る有栖川くんをニヤニヤ見てるんだから」
園田の言葉に顔を上げると、美村のにやけ顔。
……謝って損した。
「まぁまぁ、冗談はこのくらいにして。保健室で何があったの?アリスちゃん」
「え!?」
美村が真剣な顔でじっと俺を見て聞いた。
「誰かから逃げてる感じだったよね?」
「さっそく襲われたの!?」
おい。園田よ。何故に目が輝いているのだ。
「襲われてないです。大丈夫です。はい」
「棒読み~」
言いたくない。初日早々、知らない男にキスされたとか。
最悪じゃ!!
有栖川父の次は謎の男かよ!
俺の唇は穢れてしまったのだ。ううう。
「まぁ、アリスちゃん、同室なんだから高槻先輩に相談したら大丈夫だよ」
「仏の高槻だもんね!」
また園田がキラキラしてる。
「高槻先輩、いい人だもんなぁ」
俺がしみじみ言うと、二人は顔を見合わせて、違う違うというジェスチャーをした。
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