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高槻先輩と仏陀2
「高槻先輩は1仏陀なんだよ」
「ワン・ブッダ?」
「そ!《仏の顔も三度まで》って言うじゃない? 高槻先輩は一個しか無いのよ~。仏の顔」
「だから、ワン・ブッダって言われてるんだよね。前の同室だった生徒も、それで逃げちゃったって噂だし」
「一回でお前の人生アウトォ~って感じ? 鬼風紀の1仏陀・高槻」
向かいに座る美村が胸の前で合掌して、チーンと目を閉じてみせた。
「なにそれ!? 超怖いんですけど!! 今からでも、美村! お前と同室になれないのか!?」
「あは、嬉しいけど無理っしょ。最初に高槻先輩にお願いしたのアリスちゃんサイドでしょぉ」
「うおお!」
バカ! 有栖川父のバカタレ!
そんな俺を見て、焼き魚定食をつつきながら園田が聞いてきた。
「実際、高槻先輩ってどうなの?」
「え? いい先輩だよ。昨日と今朝もご飯奢ってくれたし」
ご飯奢ってくれる人は良い人認定。
これ、O型のルール。俺はO型。
「じゃあ大丈夫だよ。高槻先輩が厳しいのって、相手の生徒に非があるときだもん」
「……そっか。だよなぁ」
「アリスちゃん可愛いし、大丈夫よ~」
「それ関係ないし、可愛いって言うな!」
噂だけで先輩にビビってしまった。反省だ。高槻先輩、ごめんなさい。
俺は心の中で先輩に謝罪しながら、目の前の豚生姜焼きに箸をつけたのだった。
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