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千尋とひらパー兄さん1
俺の学園生活も、まぁ順調です。
───例の保健室キス事件を除いては。
派手な金髪の奴だった。犯人はすぐ見つかると思ってたんだけど。
なんてこったい。
金髪野郎が多すぎる!!
美村もほぼ金髪だが、他にも金髪の生徒がちらほらいた。
染めてる奴もいれば、ガチでハーフやらクォーターの奴もいる。
それにどうも、髪型だの服装だの、校則がユルいみたいだ。
しかも、寮長まで金髪だった。
初めて会ったときは、ギョッとして警戒しまくったけど、案外気のいいにいちゃんだった。
今では雑談する仲だ。
「あ。枚方さん、こんばんは」
「ばんはー」
寮長の枚方勉(ひらかた つとむ)は、ユルい天パの金髪に一重でキツネ目で背が高い。(どいつもこいつも180超えてんのな。悔しいです!)
気さくで若干ズボラな20代後半のにいちゃんだ。喋り方や服装もユルい感じだ。
(心の中で密かにひらパー兄さんと呼んでいる。)
「有栖川、何買ってきたの?」
俺はコンビニ(学園内の何でも売ってるスーパーコンビニだ)帰りだった。
「なんか、急に食べたくなって」
ガサガサとビニール袋から出して見せる。
「チョコあ~んぱんとうまい棒!? なにこのチョイス」
「だから、急に食べたくなったんですってば」
特に、うまい棒のコーンポタージュ味は時折むしょ~に食べたくなるんだよね。
「有栖川、お前。そんな顔して、こんなお菓子食べるのな」
「そんな顔って、なんですか?」
「可愛いキレイ系の顔」
「可愛い言うな」
美村にも言われるけど、男が男に可愛いとか言われるのは不本意だ。
ギャルに「カワイ~」って、言われるならまだしも……。
「久しぶりに見ると食べたくなるな」
「一個あげましょうか?」
「いいの? お茶入れるから、俺の部屋で一緒に食おうや」
ひらパー兄さんがにっこり笑って言った。
「いいですよ」
ひらパー兄さんの誘いに返事をしたとき、後ろから腕をぐいっと引かれた。
「えっ」
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