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千尋とプロレスラー3

小林から借りてきた映画は、往年のスター選手がボロボロになりながら、再起をかけてリングに立つとかいうプロレス映画だ。 俺は見たことなかったんだけど、プロレス好きとか関係なく名作らしい。 俺はワクワクしながらDVDをセットした。 映画が終わって、エンドロールが流れている。 「……うっ」 俺はもうボッロボロに泣いてしまっていた。 不器用でいて、一途な男の生き様だ。 レスラーとして観客に魅せる為に、ケガやステロイドで肉体も心臓もボロボロ。 それでもリングに立つ。最後まで。 ああくそ、胸が熱い。 エンディングの曲も良いし。 もう、なんだよ。もう。 俺はもうたまらなくなって、おうおう泣きじゃくっていた。 「千尋?」 ふいに呼ばれて振り向いたら、高槻先輩がギョッとした顔をして立っていた。 「どうした!? 千尋!」 慌てた様子で高槻先輩が俺の隣に座る。 いかん。マジ泣きしすぎて見苦しい。 「あ、映画見てて……うっ……おれ、すみません。ひっ……男なのに恥ずかしい」 男のクセに涙腺弱いんだよ。 昔、彼女と映画見に行ってマジ泣きして、ドン引きされたことあるんだよね。 俺は焦って手の甲でゴシゴシと目をこすって涙を拭う。 「千尋、千尋」 高槻先輩が俺の両手首を掴んで、それを止めた。 「いいから」 高槻先輩が俺の肩を強く抱き寄せたので俺は高槻先輩の胸に顔を埋めた状態になった。

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