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涙痕と翻弄される男たち3
校舎に入って高槻先輩と別れた。
廊下を歩いてたら、向こうからホスト教師が歩いてきた。
「要先生、おはようございます」
「よぉ、有栖川……!?」
ホスト教師は俺を見て顔を顰めた。
「ちょっと来い」
「えっ?」
腕を掴まれ、誰もいない理科準備室に引きずり込まれた。
「わっ! なに?」
俺は壁に押し付けられるようにして、立たされる。
ホスト教師は俺の顔を挟むように、両腕を壁に付いた。
何コレ、壁ドンてやつ?
「誰に泣かされた?」
近い近い。顔、近いから。
ホスト教師は鼻先が触れ合うくらいに顔を寄せて聞いてきた。
てゆうか、またかよ。そんなに目立つ?
「昨夜、映画見て泣いただけですってば」
するとホスト教師はホッとしたように長い息を吐いた。
「映画見て泣くなんて、可愛いなぁ」
ニヤリと笑った。相変わらず顔が近い。
「うるさいです。あ! 先生、カラコンやめた?」
「あ、ああ」
今日はあの悪趣味なカラコンじゃなくて、黒い自然な瞳だ。そして相変わらずイケメンだ。
「その方が絶対いいですよ!」
俺が笑って褒めると
「有栖川……」
ホスト教師は更に顔を近付けてきた。
うげっ!
俺は思わず顔を背ける。
すると、ちゅっと目元に唇を当てられてビクッとした。
「ちょっと! 先生っ!?」
「初心な反応だな……まだ誰にも手ぇつけられちゃいねぇな」
そのままベロッと舐められた。
「わぁっ!?」
俺は壁伝いにしゃがみ込んで、這うようにしてホスト教師の腕の中から逃げた。
「この変態教師!」
急いで理科準備室から逃げる。
笑いながら要先生が聞いてきた。
「待てよ有栖川。何の映画で泣いたんだ?」
「プロレス映画だ! バカヤロー!!」
「えっ?」
俺は全力疾走で変態教師から逃げたのだった。
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