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千尋と神回避2
園田の話をまとめると……
この学園は男子ばっかりのくせして、抱きたいランキングと抱かれたいランキングなんてのがあるらしい。
……恐ろしい。
生徒会の連中っていうのは、そのランキングの上位で生徒たちから絶大な人気があり、親衛隊なんてのがあるらしい。
ちなみに美村にも親衛隊はいるって。
こいつもチャライけどイケメンだしな。
ただ、生徒会連中は規模が全然違うそうだ。
「園田、それなんて少女漫画?」
思わず聞いてしまった。
「いやいや。漫画じゃないって。リアル、リアル」
怖いわぁ。分からんわぁ。
親衛隊って、ジャ○ーズとかA○Bみたいな感じか?
俺、あんまりアイドルにハマったことないから、イマイチ分からないんだよね。
「でね。有栖川くんが来る一か月前に入って来た生徒が、アンチ王道なんだよ」
「アンチ?」
「でもなんだか非王道の王道パターンからもズレてる感じなんだよね。声もデカくないし。そもそも僕は非王道はあんまり好みじゃないんだけど……」
「?」
園田がぶつぶつ言っているが、ほとんど意味が分からなかった。
「園ちゃん園ちゃん」
「あ! ごめんね」
美村に呼ばれて、園田がハッとして俺を見た。
美村に「園ちゃんはノンケだけど、ホモネタが好きな腐男子」と説明は受けたけど、やっぱり意味不明だ。
「まぁ簡単に説明すると、そいつが生徒会の面々に気に入られて、一般の生徒は入れないはずの生徒会室に入り浸ったりして、親衛隊に目を付けられてるのね。しかもボサボサ頭に黒縁メガネで外見がダサい奴だから、生徒会のメンバーと一緒にいるのが相応しくないって、気に入らないのが親衛隊なの」
「はぁ」
「で、そいつと同室が平野くんね。平野くんはそいつに付き合わされて、生徒会室やメンバーの自室に一緒にいくようになって、親衛隊に目を付けられちゃったの。生徒会のメンバーに溺愛されてるそいつに制裁はできないから、平野くんが攻撃対象になっちゃって。みんな関わらないようになって、平野くんは孤立してるんだ。これがアンチ王道なんだよ。分かる?」
半分くらいは意味不明だが……
「それって……平野いっこも悪くないんじゃね?」
「うん。巻き込まれちゃった平凡くんだね」
「はぁ? なにそれ。それに制裁ってなんだよ?」
美村が口を挟んできた。
「親衛隊ってのは本人の許可をもらって結成してるんだけどねぇ。ちゃんと定期的にお茶会したりとか、コミュニケーションとってるわけよぉ」
俺もお茶会してるよぉ、と美村。
「生徒会の親衛隊だとストーカー対策とか護衛的なことしたり、フォローしたりだとか、よろしくない生徒がいれば制裁ってゆって、ちょーっと過激な注意をしたりもするのよ。……まぁ他にもいろ~んなことをして、生徒会の人たちに一生懸命に尽くしてる子たちなわけよぉ。それを生徒会の奴らが邪険に扱いだして、かなり鬱憤が溜まってるみたいね」
「しかも生徒会の仕事をさぼっちゃったりしてるしね」
「半分くらい意味分からんけど……結局そいつと生徒会の連中がお花畑状態で、親衛隊ってゆう奴らがイライラしてるってことだろ。よくアイドルの熱愛発覚で発狂してるアイドルヲタと一緒だろ? でも生徒会連中のことが好きだし、そのお気に入りにも手を出せないから、平野をいじめてるってことか?」
「まぁ、そうゆうことだねぇ」
「平野くんがそいつをダシにして、生徒会の皆様に近付こうとしてるって噂もあるしね」
俺はバスの中で辛そうにしていた平野の顔を思い出す。
「はぁ!? んな訳あるか! 平野、ただのとばっちりじゃんか!」
俺は立ち上がった。
「有栖川くん、どこ行くの?」
「平野んとこ。あいつ何クラス?」
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