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千尋と神回避終了のお知らせ4
エレベーターが1階に到着した。
俺は先に外に出て、今度は両腕をバンザイさせて掴んで「よいしょー!」と引っ張る。
早くしないと……
ガシャーン。
「ぎゃー!」
もう何このエレベーター! 閉まるの早えよ。
「君、何してるの?」
「あっ! 先生、助けて! 超助けて!!」
振り返れば、保健医の伊丹 晴彦 先生だった。
俺は先生と一緒に挟まってるそいつを引きずり出した。
「よっと」
伊丹先生はそいつの腕を肩に回して、支えるように立ち上がった。
……なんか、悔しいです。
伊丹先生も180あるんだよなぁ。
でも細いイメージなのに。
白衣の下はムキムキなんだろうか。
伊丹先生はこげ茶の髪で、ちょっとタレ目。可愛い感じのおっとりした雰囲気してる。
「千尋くん。ついておいで」
「えっ。あっ、はい」
俺は先生に着いて保健室に行った。
先生は「よいしょ」とそいつをベッドに寝かせて、コキリと肩を回した。
「先生、意外と力あるんですね」
「そう?」
伊丹先生はふわりと微笑む。
癒し系だわ~。
「千尋くん、一人で生徒会長のこと運んだの? 頑張ったね」
えらいえらいと頭を撫でられた。
……ん?
「今、何ておっしゃいました?」
「頑張ったね」
「いや、その前」
「一人で生徒会長運んだの?」
「生徒会長?」
「生徒会長。西大路 真宗 くんだよ」
なんてこったい!
今、一番関わりたくない奴じゃねぇか!!
エンカウントォ──────!!!
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