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西大路と黒い稲妻1
いやっ! こいつ寝てるし、顔見られてないし、ノーカンだ。
てゆうか、イケメン生徒会長を何度もエレベーターのドアに挟んでしまった……。
「じゃっ、そうゆうことで!」
後は保健医に任せて、俺はそそくさと逃げようとして
「あっ、待って」
伊丹先生に襟首を猫みたいに掴まれた。
「ちょっと用事があるから、西大路くんについていてあげて」
「えっ! 嫌です」
「ちょっとだけだから。西大路くん、疲れて寝てるだけだし」
「あの、嫌ですから」
「最近ずっとこうなんだよね。いてくれるだけでいいよ」
「人の話聞けや」
「じゃあよろしくね。千尋くん」
「あっ、先生!」
伊丹先生はさっさと出て行ってしまった。
あの先生、あんまり保健室にいないんだよな。
だから流浪の保健医って言われてるんだよ。
「………はぁ」
困った。高槻先輩のとこにも行かなきゃだし。美村たちも待ってくれているのに。
俺はため息をついて、眉間に皺を寄せて眠る生徒会長の顔を見た。
しゃーない。10分だけ待とう。
もし伊丹先生が戻ってこなくても出て行こう。
そう決めて、俺はベッドの横の椅子に座った。
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