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西大路と黒い稲妻2

俺はマジマジと生徒会長の寝顔を見た。 確かに、こりゃイケメンだわ。 親衛隊ができるのも頷ける。男ばっかってのは理解できないけど。 彫りが深く、大人びた顔立ちをしている。 少し長めの黒髪が狼っぽいワイルドな感じだ。イケメンタレントにいそうな雰囲気だな。 背が高くて体格もいい。 金持ちでイケメンって……天は二物を与えちゃってるよな。ムカつく。 「お」 眠っている生徒会長が、またキュッと眉間にシワを寄せた。 シワ取れなくなっちゃいますよ~っと。 俺はグリグリと人差し指で生徒会長の眉間を押してみた。 そしたら、その手をガシッと掴まれて、グイッと引っ張られた。 「おわっ!!」 俺はベッドに倒れこみ、そのまま生徒会長の腕にすっぽり抱き込まれた。 ぐえ。苦しい。 どうにか生徒会長のゴツイ胸板からプハッと顔を出す。 「ちょっと! あんた起きてんの!?」 「………」 寝てんのかよ! 「あっ! ちょっと……!」 ぎゅうぎゅうと抱き枕よろしく抱きしめられた。 俺の耳元に生徒会長の唇が当たって、暖かい息がかかる。 腰に腕をまわされ、頭も大きな手で包まれている。 うひぃ、鳥肌立つわぁ! なんかゾクゾクするし、きもちわるっ。 よいしょよいしょと、どうにかこうにか生徒会長の腕の中から抜け出した。 「……はぁ。もう、なんなんだよ」 呆れたように見下ろすと、生徒会長の眉間のシワは解けて安らかな寝顔になっていた。 俺にとって保健室は鬼門なのかもしれないなぁ。 もういいや。さっさと退散しよう。 「生徒会長。コレ置いていくから許してね」 俺はポケットから出したものを枕元に置いて保健室から出て行った。

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