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千尋と平野3
あまり遅くなると高槻先輩が心配するので今日は帰ることにした。
ドアまで見送ってくれた平野に言う。
「桜ノ宮が戻ってきたら、一度会わせてくれ」
「えっ……関わらない方がいいと思うけど」
「もう関わってるって」
「……ごめん」
平野が暗い顔をしたので、その頭にチョップした。
「えっ?」
「嫌だったらここまで来ないって。俺が気になったから、勝手に首つっこんでるんだから、平野は悪くない」
「……うん」
俺は二カッと笑って、部屋を出た。
「じゃあね。またメールする」
「うん。ありがとう。有栖川くん」
平野も笑った。
さて。どうしたものか。
とりあえず誰か、この学園に詳しい奴に相談だ。
美村と園田は本音では関わらない方がいいって思ってるからなぁ。
うーんと考えながら寮の建物を出る。
自分の部屋のある建物を目指して夜道を歩いていると……
「んぐっ!?」
いきなり背後から口を塞がれ、抱え込まれた。
「ッッ!!」
そのままズルズルと寮の前の街路樹の陰へと引きずられる。
─────な、なんなんだッ!?
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