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千尋と密会1
「うっ! ふぐぅ……ッッ!!」
うーうー呻きながら、引きずられる。
けっこう暴れてるのに、馬鹿力め!
ちくしょっ!!
「静かにしろ。お姫様」
「ッッ!?」
耳元で囁かれた……この声!?
「ぷはっ……風紀委員長!?」
ドーベルマンみたいな風紀委員長だ!
「なんで!?」
「お前こそ、なんで桜ノ宮と平野の部屋に行った?」
「えっ?」
見てたのかよ。
「お前今日、風紀室に来たときに高槻に嘘を吐いていただろう。怪しいと思って見てたんだよ。最近、新入りのせいでおかしな空気になってるからな」
桜ノ宮のことか。
「……」
口元は笑ってるけど、目が笑っていない。
……どうする?
たぶん、このドーベルマン委員長には嘘やごまかしは効かない。
それに風紀委員長だし、高槻先輩の上司みたいなもんだしな。
俺はゴクリと唾を飲み込んでから口を開いた。
「全部話すから、手離してもらえます?」
俺はまだ御影委員長に背後から抱かれたままだ。
「このままでもいいぜ。お前、意外と抱き心地いいな」
ニヤッと笑われる。
「はぁ!? あんた何キャラだよ! キモイんですけど!」
「それが素か」
委員長が面白そうに目を細めた。
「なんでもいいから離せ」
「はいはい」
ようやく解放された。ほっとしたのも束の間、今度は腕を掴まれた。
「えっ?」
「ついてこい」
再び引きずられるようにして、俺は歩き出した。
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