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千尋と密会4[side 御影]
[side 御影]
有栖川千尋を見送った後、俺はしばらく玄関に立って閉じたドアを見つめていた。
変わった奴だ。
最初は桜ノ宮同様、厄介な一年生かと思って早めに手を打とうとしたが……
驚いたことに本気で平野を助けたいと思っているようだ。
変わってるのはおたくら、か……。
俺はこの学園の暗黙のルールが嫌いだったが、いつの間にか当たり前だと思ってしまっていたようだ。
姫の言葉で気付かされた。
俺が風紀にいるうちは、二度と『制裁』なんて真似はさせない。
俺は改めて、固く誓う。
ふと、姫が生徒会長を死体遺棄のごとく引きずってエレベーターに挟んだ話を思い出して、また笑ってしまった。
久々だった。こんなにバカ笑いをしたのは。
………高槻が溺愛するのも分かるな。
馬鹿正直で、おせっかいで、無防備なお姫さまには、誰にも手を出させるわけにはいかないな。
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