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千尋とナウシカ兄さんと高槻先輩1

俺の毎朝のウォーキングは高槻先輩に全くバレなかったので、順調に続いていた。 委員長にも気付かれなかった。 言ってないだけで、嘘はついてないもんね。 毎朝、あの大きな木の下でリスにクッキーをあげてるナウシカ兄さんを見かけた。 俺はちょっと離れて、リスの超可愛い食事風景をニマニマ眺めていた。 それこら、ぺこりとお辞儀をして立ち去る。 ナウシカ兄さんとは一言も話したことなかったけど、ある朝……… 「?」 俺を見たナウシカ兄さんが、おいでおいでと手招きした。 ナウシカ兄さんの隣にそっと近寄ると、手にしたクッキーを俺に渡した。 ナウシカ兄さんを見上げると、コクコク頷いてる。 俺はクッキーを2つに割って、リスに差し出してみた。 リスはちょっと警戒してたけど、フンフン鼻をならして、俺の手からクッキーを食べた。 おおお! なんだこの可愛い生き物は!! 俺は嬉しくなってナウシカ兄さんを見上げた。 ナウシカ兄さんはにっこり微笑んでた。 ………うお、めっちゃ王子様だ。 近くで見ると目の色が茶色い。てゆうか、薄茶の透き通ったガラスみたいだ。 いつも無表情だったけど、笑うとイケメン度がアップだ。 隣に立って気付いたけど、こいつもやたら背が高い。むかつくわぁ。 もう半分のクッキーも食べて、リスがサササーっと木を登って去っていった。 あ~あ。行っちゃったぁ。 しばらくぼんやりと、俺とナウシカ兄さんは木を見上げてた。

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