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千尋とシャワーと謎の金髪男3
「ひっ!」
俺は凍り付いた。
なにせ真っ裸だし、相手めっちゃ怒ってるみたいだし。
「す、すみません」
とりあえず謝っとこ。鼻歌もやめた。
だが、一向に背後の気配が去らない。
な、なに!?
「顔を見せなさい」
「えっ!? なんで?」
「不快な思いをさせた生徒を覚えておく為です」
えええ!? なにそれ? ひどくない!?
俺は恐る恐る顔だけ振り向いた。
「!!」
相手は目を見開いて俺を見た。
俺もそいつの顔を見た。
金髪に緑の瞳の外人みたいな顔した奴だ。
ちょっと冷たい雰囲気してる。なんとなくロシアのお貴族さまみたいなイメージだ。
「あ、あの?」
「クラスと名前は?」
「えっ?」
えっ!? 俺、音痴のせいで仕返しされんの!?
「あの、もう出て行くので……すみませんでしたッ!」
俺はシャワーを止め、後ろ手にタオルを取って女子みたいに裸を隠した。
ど、どいてくんないかな?
そいつは立ち塞がるように、ドアのとこに立ってる。腰にタオル巻いた裸で。
うお。こいつもムキムキだな。
委員長みたいなガチムチじゃなく、無駄の無い細マッチョって感じ。
「し、失礼しま~す」
ちょっと怖いけど、俺はそいつの横をすり抜けようとして……
「うわっ!?」
ガシっと両腕を掴まれた。
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