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御影と瀧山2[side 御影]
[side 御影]
トレーニングルームを覗くと姫がいない。
あいつ……まさか勝手に帰ったのか。
ロッカールームを見ると、姫の荷物を入れたロッカーはまだ使用中だ。
シャワーか?
俺はロッカールームの隣のシャワールームへ歩いて行くと………
「うわっ!」
飛び出してきた姫とぶつかった。
「何があった!?」
その怯えた表情に異変を察した。辛うじて腰にタオルを巻いているが、濡れて裸同然だ。
くそっ! 目を離すんじゃなかった!
「金髪の変なやつが………」
「下がってろ」
俺はシャワールームのドアを開けて中に入った。
奥に裸の男がうずくまっている。
「おい。てめぇ、何やってる。ゆっくりと立て」
男の肩がピクリと揺れ、ゆっくりと立ち上り振り向いた。
「風紀委員長が何の用です」
「瀧山!」
最悪の奴だ。
「被害者は僕の方ですよ。なんなんですか、あの乱暴な生徒は?」
瀧山は俺を冷たい目で一別し、タオルで御座なりに体を拭き、服を着始めた。
「てめぇがセクハラしたんじゃねぇのか?」
「まさか。名前を聞いただけです。勝手に暴れて逃げてったんですよ」
秀麗な片眉をクイと上げて言った。相変わらずムカつく野郎だ。
「どいてください」
「………」
証拠も無いし、こいつ相手じゃ分が悪い。
俺は瀧山を睨みながら下がった。
瀧山がドアを開けると
「ぎゃあ!」
毛虫でも見たみたいな悲鳴が聞こえた。
しまった! 姫がいたんだった。
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