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御影と瀧山3[side 瀧山]

[side 瀧山] 「ぎゃあ!」 僕は驚いた。この学園で自分に対してこんな声を上げる人間がいるとは……。 ここ数日、桜真に会えなくてイラついていた。 気晴らしに体を動かし、いくらかスッキリしてシャワーを浴びていたら、あのひどい鼻歌だ。 僕の機嫌は、また急激に落下した。 シャワールームのドアを開けて、鼻歌を止めさせた。 あのひどい鼻歌の原因は華奢で白い背中をしている。いったいどんな顔をしているのだろう。 親衛隊に命じて、気晴らしに嫌がらせでもやらせるか。 だがその生徒の顔を見て、僕は息を呑んだ。 潤んだ黒い瞳に長い睫毛。 赤く色付いた唇。下唇はふっくらしていて、噛めば気持ち良さそうだ。 濡れた黒髪が頬に張り付き、怯えた表情がそそった。 「あの。もう行きます。すみませんでした」 逃げようとするのを、腕を掴んで引き寄せた。 弱い力で必死にもがく様子にまたそそられる。 この少年を虐めて泣かせれば、どれだけ可愛いだろうか。 「離せよっ!」 暴れた拍子にタオルが落ち、少年の裸体が露わになる。 「っ!!」 ─────華奢な胸に、醜く引き攣れた傷痕。 少年の美しい顔と真逆の傷痕が強烈なインパクトを与えた。痛々しいのに卑猥だ。 ゾクゾクとして、下肢が反応しそうになった時……… 「死ね! 変態!」 股間を思い切り蹴られた。 「うぐっ!」 僕は思わず蹲った。 この僕に……よくも………。 あの少年を必ず追い詰めて、捕まえてやろう。 そんなことを考えていると、風紀委員長が入ってきた。

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