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胸の傷痕とエロス2[side 御影]

[side 御影] 「お前、碌でもない奴に目ぇつけられたぞ」 俺は瀧山が去っていった方を睨んだ。 あいつはクールでちょっと腹黒だが完璧な副会長を演じている。 だが腹黒どころか、あいつは毒蛇だ。 良い子ちゃんの笑みを浮かべているが、陰湿で賢く、上手く立ち回る。 奴が桜ノ宮と連みだしてから、悪質な制裁が増えた。 ふと目線を下げる。 姫が怯えた顔をしていた。 くそ! マジで目を離すんじゃなかった。 奴に手は出させない、と姫の頭をくしゃりと撫でた。 そして、その下の胸の傷痕を見た。 華奢な体に痛々しい、大きく引き攣れた傷痕だった。 眉根を寄せて、その傷痕に触れた。 痛々しい。 だが、ある種のエロさを感じる。 完璧に整った美しい顔。均整の取れた白い華奢な体にインパクトのある傷痕が、魅力を損なうどころか逆にこいつの色気になっている。 瀧山はこの傷痕を見たのだろう。 奴は惹きつけられたはずだ。 「痛いことないですよ」 姫がニカっと笑って言った。 おいおい。ほんとにこいつは………。 もっと甘え上手になれ、とは言ったが。すでに俺はこいつを甘やかしたくて仕方がなくなっている。 俺を頼れ。こんな体で強がるんじゃない。 抱き締めた姫の体は、折れそうなほどに華奢だった。 「くしゅっ」 姫がくしゃみをした。濡れたままだったな。 「体が冷えてるな。もう一度、シャワーを浴びろ」 再びシャワールームに入った。今度は隣で俺もシャワーを浴びることにする。 「一緒に入るか?」 ニヤリと笑って言ってやれば、 「委員長の変態!」 姫は子猫が威嚇するみたいに叫んで、シャワーブースに入って磨りガラスのドアをピシャッと閉めた。 俺はハハッと笑って、Tシャツを脱いでった。

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