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千尋とナウシカ兄さんと絆創膏1

「また今度、ちゃんと口説かせて」 そう言い残して、会計は去って行った。 「絶対に断る……っ!」 心臓がバクバクいってる。全力疾走したからだけじゃない。 こ、怖かった。 高槻先輩に言われた通り、この体は非力だ。山田太郎とは違う。 山田の時は社会人フットサルチームにも参加してたし、そこそこ筋肉はあった。 身長も183センチあったし、彼女もいた。(浮気されたけど) 有栖川千尋みたいな美形じゃなかったけど、雰囲気でイケメンっぽく努力してた。 そんなにモテなかったけど……。 「なんで………なんだってんだ………くそっ!」 俺はバクバクいってる胸を押さえて、壁にもたれた。 悔しい。 情けない。 俺は教室に戻る気になれなくて、校舎を出た。

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