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キスマークとキスマーク1
ナウシカ兄さん………じゃなかった。
蓮が悲しそうな顔をしたので「こっそり行く」と言って、メルアド交換して別れた。
はぁっとため息をつく。
美村に高槻先輩に御影委員長にホスト教師………着信が鬼のようだ。
授業中サイレントにしたままだったから、気付かなかった。
「うわっ!」
どうしようかな、と考えてる内にまた着信だ。わたわたと出る。
「は、はい!」
『姫! お前、今どこにいるんだ!?』
委員長だ。すごく焦った声してる。
「えっと、コンビニの近く……」
『コンビニの前にいろ。すぐ行く』
ブツっと切れた。
なんか………めっちゃ心配かけちゃったみたいだ。情けない………。
コンビニの前で少し待ってたら、委員長が走ってきた。
「委員長、なんで?」
「お前のクラスの美村が知らせに来たんだよ。理科室から戻ってこないし、電話にも出ねぇし。なんかあったんじゃねぇかって」
「あ」
委員長の顔は汗ばんでいた。
探してくれてたんだ。
「大丈夫なのか?」
「はい。ごめんなさい。心配かけて……」
委員長は無言で俺を見てたけど、ぐいっと腕を引いて歩き出した。
委員長は歩きながら高槻先輩とホスト教師に、俺を見つけたって電話した。
俺も美村に電話して、心配かけてごめんって謝った。
だから、委員長がじっと俺の首の絆創膏を睨むように見ていたのに気付かなかった。
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