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高槻先輩とトム・ヤム・クン3[side 高槻]

[side 高槻] 「ジンジャーエールとピザポテトとカントリーマアム買ってきて! ダッシュ!」 そう千尋に言われて、戸惑いながらもコンビニに走った。 道中、徐々に冷静になってきて、何故あんな真似をしてしまったのか考えた。 嫉妬したんだ。委員長の悪ふざけに。   自分が一番千尋の身近にいて、自分が一番に千尋を守るのだと思っていたから。 だが、千尋を傷付けてしまった。 なんて謝ればいい? 千尋に対する謝罪の言葉を考えながら部屋に戻ると 「あれ見たい。トンチンカンみたいなやつ」 「ト、トムヤムクンか?」 「持ってきて」 俺は慌てて自室からDVDを取ってきて、セットした。 「甘いのとピザポテト、どっちが好きですか?」 「高槻先輩が買ってきたやつでしょ」 「今日はサボっちゃいましょうよ」 千尋が悪戯っぽい目で言ってきたので、俺もつい笑ってしまう。 ずっと、なんて言おう、どう謝ろうと気持ちが沈み、頭の中はグズグズだったが、気付けば自然に千尋の横にいる。 「うお。すごいキック。高槻先輩もあれできる?」 千尋が俺を見て聞いてきた。 「できるぞ」 「マジで? 今度やってみせて」 ニ人でお菓子を食べながら映画を見て、笑って雑談をする。 千尋が俺を許してくれているのだと分かり、胸が暖かくなる。 こんな仲直りの仕方なんて初めてだった。

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