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千尋とブラックサンダー会長1

翌朝。 「なんじゃこりゃ」 洗面所で顔を洗って、鏡に写る自分を見て思わず声が出た。正確には首だけど。 めっちゃ濃いキスマークだ。 特に高槻先輩が付けた方は、もはやアザだ。 無理だ。こんなんで学校行きたくない。ホモの巣窟学園だし。 よし。サボろう。 「おはよう。千尋」 三個目の目覚ましで起きてきた高槻先輩が洗面所に来た。 「おはようございます。高槻先輩。俺、今日休む」 「どうした?」 ………どうしたもこうしたも。 俺は両手の人さし指で、ビッと首を指差した。 「こんなんじゃ学校行けない」 「あっ!」 高槻先輩が、カアァーっと漫画みたいに赤くなって、直後、青くなった。 「す、すまない。千尋」 深々と頭を下げる高槻先輩に、俺はニヤッと笑ってみせた。 「今日、土曜日だし。土日連休になってラッキーって感じ」 まぁ、病気でも何でもない訳だしね。 「教師には俺から伝えておく」 高槻先輩はまだちょっとすまなそうな顔をして言った。 ほんと、残念なイケメンだよ。そんなにションボリするなら、やるなっつーの。 「じゃあ、お願いします」 俺はぺこりと頭を下げた。

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