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千尋とブラックサンダー会長[side 西大路]
[side 西大路]
書類を手に授業中で誰もいない廊下を足早に進んでいたら、曲がり角でドンッと誰かにぶつかった。
無様に尻餅をつき、書類がバサバサと舞い散る。
俺はチッと舌打ちをして、ぶつかってきたクソ野郎に文句を言おうとして………
「見るんじゃねぇ!!」
ズゴッと目潰しを食らった。
「うがぁッ!?」
いっ……てぇ!! 何なんだ!?
この俺によくも………命知らずがいたもんだ。
殺す! 半殺しにしてやる。
丁度イラついてたんだ。サンドバッグにしてやる。
片手で痛む目元を押さえて、もう一方の手でそいつの制服を捕まえる。
「ぎゃー! 離せ!」
ズビシ!!
「………てぇッ! このヤロ………!!」
今度はチョップだ。
殺す! こいつ絶対に殺す!!
俺は手探りでそいつの制服を掴んだ。
ビリッ!
引っ掴んでた制服が破れて、そいつは走って逃げた。痛む目を無理矢理開けて見れば、華奢な後ろ姿が一瞬だけ見えて、そいつは右へ曲がり階段で逃げてった。
「クソッタレ!」
俺は毒付き、手の中の布を見た。ブレザーのポケットだ。
何か落ちてる。
小さいチョコだ。
「これは………」
ブラックサンダーじゃねぇか!!
実はあの保健室で食べて以来ハマって、ちょいちょい食ってる。
俺はバッとあいつが逃げてった方向を見た。まさか………。
「一年の眠り姫か?」
俺は思わず声を出して笑った。
一度、眠り姫の顔を拝まねぇとな。
俺は書類を拾い集めて立ち上がり、ブラックサンダーをポケットに入れて、再び職員室を目指して歩きだした。
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