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千尋と駆け込み寺1
寮に戻って、バスの時間を確認してから小林にメールした。
5時に待ち合わせる約束をして、俺はお泊り用に着替えをカバンに入れた。
お昼時、高槻先輩がお弁当を買って帰ってきた。俺はお茶を沸かしながら、高槻先輩に外泊することを伝えた。
「俺、今日は友達のとこ泊りに行ってきます」
「えっ………」
ん? なんだこのドンヨリした空気は。
振り返れば、高槻先輩がガチ凹み顔だ。
「やっぱり………昨日のことが………」
うわ。ぶり返しちゃったよ。
「あ~、もう!」
俺は高槻先輩のほっぺたを両手でバチーンとはさんだ。ほっぺの肉を摘んでビヨーンと左右に伸ばす。
「ふぃ、ふぃふぃろ?」
「あのことはカントリーマアムでチャラにする! もうしないって約束して」
「わ、ふぁはった」
俺は手を離した。高槻先輩がちょっと赤くなった頬っぺたを撫でて俺を見てる顔がなんか可愛かった。
「ん」
俺はお茶のカップを高槻先輩に渡した。
「あ、ありがとう」
「お昼食べましょうよ。何買ってきたんですか?」
「豚生姜焼き弁当と焼きサバ弁当だ。好きな方選んでいいぞ」
「じゃあ焼きサバ」
実は高槻先輩が豚生姜焼き大好きなのを知っている俺は、焼きサバ弁当を選んだ。
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