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千尋と駆け込み寺2

午後から高槻先輩は風紀の集まりで出てった。 俺はゴロゴロすごして、4時前に寮を出てバス停まで歩いてった。相変わらずバスはガラガラだ。 俺は後ろの方の席に座って、iPodで音楽を聴いてる内に寝ちゃってた。 バスの揺れって、なんか気持ちいいんだよね。 「………くん。千尋くん」 「ん?」 「着いたよ。千尋くん」 ハッと起きたら、バスの運転手さんが俺を軽く揺すって起こしてくれてた。いっけね。爆睡してた。 「すみません」 人のよさげなおっちゃん(てゆっても40くらいかな?)だ。名札を見たら『山田』って書いてあった。 俺は思わず笑いながら、「ありがとう。山田さん」と言って、バスを降りた。 「いいんだよ。千尋くん。帰りもよろしくね」 バス運転手の『山田さん』はニコニコしながら俺に言った。 俺は小林との待ち合わせ場所へと歩きながら、ふと思った。 あれ? なんで俺の名前知ってんだろ? バスに乗るのは今日で二回めなのに。変なの。 待ち合わせ時間には余裕があるから、またiPodを聴きながら、のんびり歩いた。

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