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白いうなじと翻弄される男たち3
「千尋? 委員長! 何をしてるんです!?」
高槻先輩だ。
「うわぁ!」
ぐいっと腕を引っ張られて、エレベーターの外に出た。高槻先輩は委員長を睨みつけた。
「そいつに危機感ってやつを教えてたんだよ。うなじが弱点みたいだぞ」
「委員長のばか! 言うな!」
委員長は、ハハハと笑って「じゃ、俺コンビニ行ってくるわ」と、そのままエレベーターに乗って下に行った。
「た、高槻先輩は下に降りないんですか?」
「………」
高槻先輩は俺を見て、腕を引いて部屋に戻った。
なに? 今度は何に1仏陀してるの?!
部屋に入ってすぐの廊下で、両腕を掴まれて高槻先輩と向き合う。
「委員長が言ってたのは、なんのことだ?」
「えっ?」
「弱点ってなんだ?」
えー!? それ聞くの?
「あ~。あの、俺くすぐったがりみたいでして。委員長がふざけて、からかったんですよ」
高槻先輩はじっと俺を見てたが、不意に腕を上げて俺のうなじを撫でた。
「わっ。ちょっと!?」
俺は慌てて後ずさりする。高槻先輩は眉を顰めた。
「委員長はよくて、俺は駄目なのか?」
「えっ? なんでそうなるんです?」
なに言ってんだ? この人。
「そうじゃなくて………触られて楽しいもんじゃないんですから。もういい加減に………」
「委員長には触らせてただろう」
えー! なにこの駄々っ子状態。
でも、あんまり頑なに断って、また暴走されたら嫌だな。
キスマークの時もだけど、高槻先輩は委員長に張り合うくせでもあるのかよ。
「あ~。もう、分かりましたよ。触っていいですよ」
野郎のうなじなんか触って、何が楽しいんだか。
高槻先輩の手が俺のうなじをそっと撫でた。思わずピクッとしてしまう。
「………」
「………」
玄関上がってすぐの廊下で向かい合って、無言でうなじを撫で撫でされてる。
ナニコレ???
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