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ナウシカ兄さんと早朝散歩1
月曜日の朝。
俺はいつもよりずっと早く起きて、こっそり部屋を出た。
昨夜、ナウシカ兄さん………じゃなかった。蓮にメールして約束したんだ。
学園に帰ってきてすぐに、セクハラを受けた俺は小林んちに引き返したい気持ちでいっぱいだったが
ここにも癒しスポットがあったじゃないか! と、リスのことを思い出した。
ついでに蓮にもメールした。
めちゃくちゃ早朝になるけどって伝えたら、大丈夫って返信がきた。
なんか、蓮は眠りが浅くて、夜あまり寝れてないみたい。
高槻先輩が絶対に起きれない時間に早起きして、あくびをしつつ林の小道を歩いた。
「千尋」
静かな声で呼ばれた。
「あ。おはよう。ナウシ………蓮」
「ナウシカ兄さんって呼びたいの?」
蓮がフワリと笑って言った。うわぁ。恥ずかしい。
「いや、そうゆうわけじゃないんだけど」
「ナウシカ兄さんでいいよ」
「いやっ。そうゆうわけにはいかないから」
この王子様スマイルにナウシカ兄さんはないだろ。さすがに反省だ。
相変わらず綺麗な整った顔してる。
少女漫画に出てくる王子様そのものだ。
俺と蓮は、あの木の下まで歩いた。
いつもより早いからか、リスは降りてこない。ちぇ。
木の根元に2人で座ってぼんやりしてたら、うつらうつら寝てしまってた。早起きしたしね。
「………ろ………ちひろ」
「………んー?」
「しー………ゆっくり目を開けて」
「ん」
蓮の穏やかな声で眠りから覚める。ゆっくり目を開けると………
「………ぁ」
俺は蓮の膝枕で寝てて、俺のお腹のとこに、ちょこんとリスが座ってた。
わぁああ! 可愛い!!
驚ろかしちゃいけないから、心の中で悶えて叫んだ。
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