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千尋と嵐の前の静けさ2
「それに、アリスちゃんは外見だけじゃないよぉ」
「ん?」
「他の美形の子たちってさぁ。ちやほやされたり、甘やかされたりで、性格悪い子多いよぉ。苦労知らずの金持ちだしね。俺もだけど」
美村が豚生姜焼きを食べながら話す。
「人を利用したり、外見で判断したり。でも、アリスちゃんは違う。偉そうにしたりしないし、人を利用したりしないし、誰にでも笑顔でしょ。作り笑いじゃない。ホントの笑顔」
なんか、めっちゃ褒められてる?
「だから、高槻先輩や御影先輩が世話焼いちゃうんでしょ。アリスちゃんの中身に惹かれるんだと思う。みんなね」
美村がじっと俺を見つめながら言った。
「お、おお。ありがとうな」
俺は照れ笑いで、頭をポリポリ掻いた。中身にって事は、『山田太郎』ってことだ。
なんか、嬉しい。
「美村。キッシュやるわ」
「ありがとぉ。じゃあ、豚生姜焼き一口あげるねぇ」
俺は美村とおかずのトレードをした。
その様子を園田が目をキラキラさせて見ていたが、無視をした。
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