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瀧山と親衛隊1[side 瀧山]

[side 瀧山] 「瀧山さま………」 情事の後の気怠さを含んだ声音で名前を呼ばれて、少しうんざりした。 この少年にもう用は無い。 けれど僕は、振り返った時には完璧な微笑を浮かべてみせた。 「そろそろ部屋に戻った方がいい」 少年の頬を撫でてやると、少年はうっとりと僕の手のひらに頬を寄せた。 名前はなんだったか………倉木だか倉本だか。親衛隊の中でも美しい顔立ちの少年で、泣き顔が気に入っていた。 「この事は二人だけの秘密だからね。もしバレて、僕の知らない所で君が傷付けられでもしたら別れるしか………」 「絶対、秘密にします! 瀧山さまに迷惑はかけません」 僕は微笑んで、少年を抱き締めた。 「いい子だね」 完全に僕に心酔しきっている。少し鬱陶しいが、人をコントロールするのは面白い。 少年に服を着せて帰らせた。 少年は少しよろめきながら歩いていった。 少々、激しくしすぎたかな。 従順で可愛らしい。 だが物足りない。 少しして、部屋のチャイムが鳴った。 「よく来たね」 僕は微笑んで、彼を部屋に招き入れた。

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