172 / 306
瀧山と親衛隊1[side 瀧山]
[side 瀧山]
「瀧山さま………」
情事の後の気怠さを含んだ声音で名前を呼ばれて、少しうんざりした。
この少年にもう用は無い。
けれど僕は、振り返った時には完璧な微笑を浮かべてみせた。
「そろそろ部屋に戻った方がいい」
少年の頬を撫でてやると、少年はうっとりと僕の手のひらに頬を寄せた。
名前はなんだったか………倉木だか倉本だか。親衛隊の中でも美しい顔立ちの少年で、泣き顔が気に入っていた。
「この事は二人だけの秘密だからね。もしバレて、僕の知らない所で君が傷付けられでもしたら別れるしか………」
「絶対、秘密にします! 瀧山さまに迷惑はかけません」
僕は微笑んで、少年を抱き締めた。
「いい子だね」
完全に僕に心酔しきっている。少し鬱陶しいが、人をコントロールするのは面白い。
少年に服を着せて帰らせた。
少年は少しよろめきながら歩いていった。
少々、激しくしすぎたかな。
従順で可愛らしい。
だが物足りない。
少しして、部屋のチャイムが鳴った。
「よく来たね」
僕は微笑んで、彼を部屋に招き入れた。
ともだちにシェアしよう!