182 / 306

千尋とオールスター祭1

「ひぃ!?」 「可愛い顔して、ひぃって」 チャラ男会計が俺を見てニヤニヤ笑ってる。なんでこいつまでいるんだ! 「楽しそうなコトしてたね」 会計の指が俺のアゴをクイっと持ち上げた。 「オレも~♪」 「させるか!」 ゴチッ!! 「ッッ!!!」 チャラ男会計のニヤケ面に思いっきり頭突きしてやった。 アゴを押さえて呻いてるうちに、コンビニの外へ逃げる。 「ちょっ………待てよ!」 げぇ! もう復活しやがった。 俺が焦って走ろうとしたとき……… 「うぎゃッ!!」 コンビニを出た所で会計が思いっきり転けた。 「あ! 中津先輩!」 「どーも。」 コンビニの入り口で、会計に足を引っかけて転ばせたのは高槻先輩の同級生で風紀の外ハネ茶髪ヤンチャ系、中津先輩だった。 「ひっ! 中津!!」 「よぉ………お前、うちのお姫さんに何してんだよ?」 中津先輩は猫目を細めながら、会計の顔を鷲掴んで立たせた。 アイアンクローでがっちり掴んだ会計の顔を指でギリギリ締め上げてる。 「痛い! 痛い! 中津っ!!」 「チヒロちゃん。もうすぐ高槻も来るから行きな。難波。お前は俺と久々に仲良くプロレスごっこしよおぜぇ」 「いやーッ!」 俺はぺこりと中津先輩にお辞儀をして、コンビニから離れた。 けど、会計の悲鳴が気になって、逃げつつ振り返った。 「ギブアップ! ギブアップだってば、中津!」 中津先輩がチャラ男会計にがっつりコブラツイストをかけていた。 おお、かっけぇ! 中津先輩とは仲良くなれそうだ。 よそ見しながら歩いてたから、ドンっと誰かにぶつかった。 「わっ! ごめ………ぎゃあ!!」 謝ろうとして、そいつを見上げた俺はフリーズした。

ともだちにシェアしよう!