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千尋とオールスター祭2
俺がぶつかったのは、金髪に緑の瞳の生徒会副会長だった。
副会長はお綺麗な顔に不気味な微笑みを浮かべた。
「また君か」
なんでこいつまでいるんだよ!?
「き、金髪変態男!」
やべぇ。心の声が出た。
副会長がピリリと眉を顰めた。
「………ちょっと、君の言葉使いについて話そうか」
ガシッと腕を掴まれた。
「何を!?」
「教育的指導ですよ」
そう言って薄っすら笑った。でも、目が全然笑ってない。超怖いんですけど!
「やっ! 離せよッ」
こいつ。力強い! 俺は副会長に引っ張られて、連れていかれそうになる。
「手を離せ! 瀧山!」
凛とした声が響いて、副会長の手が緩んだ。俺はバッと手を振りほどいて、声がした方へ走る。
「高槻先輩!」
俺は高槻先輩の背後に回って、先輩の腰にしがみついて金髪変態男から隠れた。
「ち、千尋!?」
俺はコアラみたいに高槻先輩に抱きついて、先輩を盾にした。
「さっさとどっか行け! 金髪変態男! 帰れ帰れ!」
高槻(ムエタイ)先輩をゲットして強気になった俺は、副会長にバッサリ言ってやった。
「………なんだと?」
地を這うような声に、おそるおそる高槻先輩越しに副会長を見る。
めっちゃ怖い顔してるぅ!
なまじ美形で外人みたいな顔だから、怒った顔が超怖い。俺はビビって、ひゃっと高槻先輩の背後に隠れた。
「う、嘘です。言い過ぎましたー!」
俺は高槻先輩越しに前言撤回した。
「でも、ぜひどこかへ行ってくださいー」
「瀧山。千尋に近付くな」
高槻先輩が副会長に低い声で言った。もっと言ったれ! 高槻先輩。
「高槻。その子に口の利き方を教えた方がいいんじゃないか?」
「千尋はこのままでいい」
高槻先輩と副会長が睨み合っていると………
パンッ! と、手を叩く音がして
「そこまで!」
と、二人の間のトゲトゲした空気を遮断した。
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