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千尋とオールスター祭3
「瀧山君。顔に出てるよ」
「西宮」
「腹黒さが滲み出てる」
眼鏡のクール系、西宮副委員長だ。
「ランク下が僕に気安く話しかけないでくれる?」
「親の財力以外で君に劣ることは何一つ無いと思うけど」
西宮副委員長が薄い唇に微笑を浮かべて言った。
ブリザードだ。冷戦だ。
アメリカ対ソビエト時代の再来だ。
西宮副委員長が氷のような視線で副会長を見据えた。副会長は少し苛立った様子だ。
「高槻、有栖川を連れて寮に帰れ。野次馬が増えた。瀧山君、君もね。その性根の悪い顔、見られたくないだろう?」
わらわらと野次馬が集まってきてる。
副会長は忌々しげに俺たちを見て、
「………覚えておけよ」
すれ違いざまに、西宮副委員長に低く言って歩いてった。やっぱ怖ぇわ。
「ごめん。すぐ忘れるよ」
西宮副委員長が副会長の背中に向けて言った。
副委員長も負けてないし!
「すまん。西宮」
「いいから。早く寮に戻った方がいいよ」
「ああ」
俺はぺこりと西宮副委員長に頭を下げて、高槻先輩の後ろについて歩いた。
「わぷっ」
高槻先輩が急に立ち止まって、俺は先輩の背中にぶつかった。
「高槻先輩?」
高槻先輩がまた険しい顔で前を見てる。俺は先輩越しに前を見た。
「あ!」
ナウシカ兄さんが立ってた。
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