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千尋とオールスター祭4
高槻先輩は俺を後ろに下がらせた。
「生徒会の人間が千尋に近付くな」
高槻先輩の威嚇するような言葉に、ナウシカ兄さんが傷付いたような顔をしたのが見えた。
「待って! ナウシ……じゃなかった。蓮はあいつらとは違うって!」
高槻先輩がピクリと眉を顰めて聞き返した。
「蓮?」
「蓮は優しいし、いい奴ですって。高槻先輩」
俺は必死でフォローした。ますます高槻先輩の眉間のシワが深くなる。
俺は焦って、高槻先輩に説明しようとしたけど、
「だから、蓮は………わぁっ!?」
米俵みたいに、高槻先輩の肩に担がれてしまった。なんでだ!?
「どけ。お前も生徒会の人間なら、自分の影響力を考えろ。千尋に近付くな」
「………っ!」
「ちょっ! 高槻先輩!!」
俺を担いだまま、高槻先輩は蓮の横を通り過ぎる。
「………あっ」
俺は思わず蓮の腕を掴んだ。
「蓮。ごめんっ!」
「千尋」
高槻先輩は苛立ったように、足早に歩きだした。
俺の手が蓮から離れる。
ぽつんと立ってる蓮を見て胸が痛んだ。
俺は高槻先輩に担がれたまま、両手を合わせて「ごめん」と謝った。
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