186 / 306

千尋と章大1

「高槻先輩! 降ろしてってば!」 「………」 ガン無視だ。 俺は高槻先輩に担がれたまま、寮の部屋まで戻った。高槻先輩に靴をポイポイと脱がされて玄関を上がったところの廊下で、ようやく降ろされた。 「もう。なんなんですか!?」 俺が高槻先輩を見上げると、ガシッと両腕を掴まれた。 「蓮ってどういうことだ」 「えっ?」 高槻先輩が厳しい顔つきで俺を見てる。 「書記の南方のことを蓮って呼んでいるのか?」 「ああ。ナウシカ兄さんって呼んじゃったら、蓮でいいよって言われて」 高槻先輩が不機嫌な顔になる。 「だから、蓮は他の生徒会メンバーとは違うし! 優しいし! 委員長だって無害だって言ってたでしょ?」 「………」 「高槻せんぱ………」 「………章大だ」 「えっ?」 「俺のことも章大って呼べ」 いやいや。どうした、高槻先輩。 「いや、高槻先輩は高槻先輩だし………」 なんか今更、呼び方変えれないというか。 高槻先輩は、ますます不機嫌な顔をして、 「もういい」 と言って、奥の自室に引っ込んでった。 えっ? ナニコレ?

ともだちにシェアしよう!