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千尋と保健室と稲妻会長3

生徒会長は俺を解放して、保険医の机の方へ歩いてった。なにやら、がそごそやってる。 「ほら」 ぽんと胃薬を渡された。そして、会長はまたベッドにゴロンと寝転んだ。 「あ、ありがとう」 え? ナニコレ? どうしたんだ? 急に親切かよ。 生徒会長は頭の後ろで手を組んで、目を閉じて横になってる。 寝てんのか? 俺はマジマジと会長の顔を見た。やっぱりイケメンだ。 「俺が男前だからって、何見惚れてんだ。友達が腹イタじゃねぇのか?」 「あ、うん。そうじゃなくて………あんたも体調悪いの?」 「あんたって言うな。正宗だ」 「はぁ」 戦国武将みたいな名前だな。会長は横目で俺を見た。 「生徒会室に缶詰状態だったから、気分転換にここで仮眠とってたんだよ。音痴の歌で起こされた」 「失礼な!」 実際、音痴ですけどね! 俺は保健室を出て行こうとして、会長を振り返る。 「会長」 「んだよ」 カーディガンのポケットに入ってたブラックサンダーきなこ味を会長に投げた。 「それあげる」 そして俺は保健室を出て、園田の元へ走った。 「………やっぱ面白いな。あいつ」 保健室では会長がブラックサンダーを手に、笑いながら呟いた。

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