202 / 306
千尋と桜ノ宮と食堂1
木曜日。
相変わらずナウシカ兄さんからの返信は無い。あの木の場所にも行ったけど、ナウシカ兄さんは来なかった。
今日は朝からどんより曇り空だったけど、昼には土砂降りの雨になった。
「あっちゃ~。すごい雨だねぇ」
「いつもの場所は無理だな。こりゃ」
「久しぶりに食堂行こうよ」
今日は久々に食堂でランチだ。雨だから、けっこう混んでる。
こうゆう日は高槻先輩達は風紀室で食べるんだって。食堂は混むから風紀室でのんびりランチとか、いいなぁ。
俺は鶏唐揚げの黒酢餡かけ定食、美村はハンバーグ定食、園田は卵雑炊。昨日のカレーがまだ効いてるらしい。
三人でウダウダ喋りながら食べてたら、急に食堂が騒がしくなった。
「なんだ?」
「久々のアレだよ!」
園田の目がキラキラしている。アイドルだか芸能人だかが来たみたいな騒ぎだぞ。
「アレ?」
「生徒会メンバー勢ぞろいってやつだよぉ。親衛隊も引き連れてね」
美村がつまらなそうに言った。
げぇ。あいつら見て楽しいもんかね。
確かにイケメン揃いだけど、男子校だろうが。俺は興味本位で入り口の方を見た。
少し不機嫌そうな生徒会長(相変わらずイケメンだ)、優等生面の副会長(嘘つきめ)、ニヤニヤしているチャラ男会計(カッコつけたって、中津先輩にシメられてるクセに)
あ、ナウシカ兄さん!
ナウシカ兄さんは薄く微笑を浮かべている。良かった。元気そうで。
その隣にいるのが………
「アレが桜ノ宮くんだよ。非王道らしからぬ非王道で、僕の好みじゃない。そもそも非王道は好きじゃないし」
園田の言うことはイマイチ分からんが、俺は桜ノ宮を見た。
ともだちにシェアしよう!