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千尋と平凡くん1

俺は平野の腕を引っ張って、だかだか歩いてった。 「あ、有栖川くん!」 平野の戸惑った声に足を止める。 「ごめん。勝手なことして」 「えっ?」 俺はポケットからハンカチを出して、お茶がかかった平野のシャツを拭いた。 そして平野の目を見て言った。 「でも、ほっとけなかった。平野に嫌がらせしてんの。あいつらだろ」 「………有栖川くん」 うう。つい行動しちゃったけど、余計なことだったかも。おせっかいだったかも。今更ながら、冷や汗が出てきた。 「ありがとう」 「えっ」 「こんな風に心配して、行動してくれたの有栖川くんだけだ」 平野が潤んだ瞳で俺を見た。 「でも、僕に関わっちゃったら、有栖川くんまで親衛隊に目を付けられるんじゃ………」 「ああ。それは別にいいんだけど」 お局OLみたいな嫌がらせくらい、どうってことない。もと社蓄リーマンですから、パワハラには慣れてる。 「それよりも怖いのは………」 言いかけた時に校内放送が廊下に響いた。 『1-B有栖川千尋、1-D平野悠二、風紀室に来い。今すぐにだ』 平野がビクっと肩を震わせた。 「ハリウッド委員長だ」 早すぎ~! 美村か、チクったのは。 あんだけ目立ったんだ。すぐに伝わっちゃっただろうけど。 俺は平野の手を引いて、風紀室に向かった。

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