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千尋と平凡くん5

「はぅあ!!」 「ど、どうしたの? 有栖川くん」 「俺も平野も昼飯食いっぱぐれてるじゃないか! 午後の授業なんてもたないよ」 俺は1/3は食べれたけど、平野は全然食べてないはず。なんてこった。 「そうなのか? 千尋。今日は早退するか?」 高槻先輩の過保護が絶賛続行中だ。腹減って早退とか無いから! 「お前らなぁ………」 委員長が呆れ顔だ。 「確か差し入れのバームクーヘンがあったはず………」 副委員長が給湯室を覗きに行った。 手にバームクーヘンの箱とチョコとかクッキーの袋を持って戻ってきた。 なんか高級そうなやつだ。 「おおお! 副委員長、女神さま!」 「はいはい。コーヒーと紅茶どっちがいい?」 俺はブラックコーヒー、平野はミルク多めでお願いした。 「俺もコーヒーおかわり頼むわ」 「はいはい」 副委員長は給湯室に戻っていった。面倒見いいよなぁ。西宮副委員長は。 俺と平野はバームクーヘンやらクッキーやら、ごちそうになった。 とりあえず一安心か。 委員長にも高槻先輩にも反対されてるけど、俺は桜ノ宮と話すチャンスがあればなぁ、と考えていた。 平野を小突いてた親衛隊の奴らが性格悪いのは一目瞭然だが、桜ノ宮はどうだろう? もしかしたら、悪気無く周りを振り回してるだけかもしれない。 「美味しかった! ごちそうさまでした。」 「ごちそうさまでした。あの、いろいろとすみません」 平野が申し訳なさそうに言った。 「気にしなくていいよ。ごめんね。今まで辛かったでしょう」 西宮副委員長が平野に優しく言った。 「これからは表立って動くから、任せとけ。姫、お前はもう余計なことすんなよ」 俺の考えをよんだのか、委員長が釘をさしてきた。 「はぁい」 俺は素直に返事をしておいた。

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