211 / 306

西京極と隊長たち2

桜ノ宮桜真。 あいつが生徒会に入り込んでから、親衛隊の空気もギスギスしている。 誰の目にも生徒会全員があいつを特別に扱っているのが分かる。 瀧山様まで………。 でも、あくまで「友達として」だとおっしゃっていた。 桜ノ宮は瀧山様に特別な感情は無い。 だから瀧山様も話しやすいのだと。 みんな瀧山様の美しい容姿に惹かれる。だから、桜ノ宮のように普通に接する相手は珍しいのだと。 それでも、あんなダサい奴が瀧山様の隣に立つ事は許し難かった。 そこにあの平凡だ。 桜ノ宮を利用して瀧山様に近付こうなど………許せるはずがない。 桜ノ宮の同室で友人だから瀧山様もはっきりとは言わないが迷惑している。 ムカつく平凡の事を考えていたら、堀江がぽそっと呟いた。 「ちょっとお仕置きしちゃう~?」 「眠り姫に? 冗談だろ? 風紀に殺されるよ」 西院が珍しく慌てた。 「違う違う。平野にだよ。み~んな桜ノ宮に対して不満が溜まってる。ガス抜きは必要じゃない?」 「そんなこと許されない。蓮太郎様は何より制裁のような行為を嫌ってらっしゃる」 西中島が眉を顰めて言った。 「それもそうだねぇ。じゃあ、昼間の事は偶然ってことで。眠り姫は風紀サイドだし。もし、平野がなんかやらかしたらその時は風紀が注意するよね」 珍しく堀江がすぐに引いた。 ………何か企んでるな。 「そうだね。今のところ大きな問題は無いんだし。今日はここまでにしておこう」 僕も堀江に同意して、親衛隊長達は解散した。 教室を出て、入り口で待っていた副隊長や親衛隊メンバーを引き連れて各々帰っていった。 僕は堀江のシャツをつんと引いた。 「何か面白いことあるの?」 「あるよ」 堀江が意地悪そうに目を細めて笑って言った。 「ね、僕の部屋でお茶でも飲まない?」 僕は堀江の誘いに頷いた。

ともだちにシェアしよう!