212 / 306
高槻先輩と嫁1
この日、俺は高槻先輩と一緒に寮に帰った。
「千尋。どうしてお前は無鉄砲なんだ。生徒会には関わるなと俺も委員長もずっと言っていただろう」
こんこんと高槻仏陀の説教が続いていた。ちょっとゲンナリしてきた俺は、ぽそっと呟いた。
「明日、高槻先輩のお弁当も作りますから。それで許してくんない?」
「………」
高槻先輩がピタっと立ち止まった。
「?」
俺は先輩を振り返って見た。
あれ? ちょっと赤くなってる?
「お、お弁当?」
「明日、風紀室でお昼食べるでしょ。お弁当作ろうかなぁって思って」
「俺のも?」
「えっと、よければ」
お。機嫌良くなった?
「コンビニ寄って帰りましょうよ。なんか食べたいものありますか?」
「なんでもいいよ」
「なんでもいいが一番困るって」
俺は笑って言った。
コンビニに入り、高槻先輩がカゴを持ってついてきた。
「やっぱり豚生姜焼きがいいですか?」
「千尋が作ってくれる料理、他にも食べてみたい」
「そっすか」
なんにしようかなぁ。久しぶりにお弁当作るからなぁ。
まぁ、おおざっぱなのしか作れないけどね。
俺は鶏肉やジャガイモやらカゴに入れてった。
「お菓子コーナーも寄っていっていいですか?」
「いいぞ」
高槻先輩と一緒にお菓子コーナーに行った。俺はしゃがんで駄菓子の棚をチェックする。
ブラックサンダーの新しいやつあるかな?
「千尋はこれ好きだよな」
俺の斜め後ろにしゃがんだ高槻先輩が手を伸ばしてブラックサンダーを手に取った。
「美味しいでしょ。大きさも小腹が減ったときにちょうどいいし」
「俺はこれだな」
高槻先輩はリッツのチーズ挟んであるやつの小袋を取った。
「高槻先輩、塩気系好きですよね」
「そうだなぁ」
俺はふいと高槻先輩の方を向いた。思ったより顔が近くにあった。
俺と高槻先輩はお菓子の棚の前にしゃがんで、気付いたら内緒話でもしてるみたいに顔を寄せ合ってた。
ともだちにシェアしよう!