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風紀と平凡とお弁当1
お弁当は高槻先輩が持ってくれた。
先に風紀室に置いてってくれるって。
教室に入ったらチラチラみんなに見られたけど、また美村の「委員長にチクるよコール」で大人しくなった。ハリウッド効果は絶大だな。
美村達には昨日のことも昼飯は風紀室で食べるってことも伝えてある。
「寂しいけど、仕方ないよねぇ。無茶しちゃダメだよ。アリスちゃん」
「ごめん。美村」
「風紀のイケメン四天王と巻き込まれ平凡とお姫様のランチだなんて………ああっ見たい!」
園田がキラキラしてきたので無視をした。
「でもほんと気をつけてよね。アリスちゃん。瀧山副会長の親衛隊って過激な方だから」
「平野に嫌がらせしてる奴らか」
「ちょっとエゲツないみたいよ。やり方が」
あの綺麗な顔した西京極とかいう生徒だ。お局OLレベルならいいんだけど。
「心配だからさ。ちゃんと御影委員長の言うこと聞いてなよ?」
子供相手みたいな言い草だが、美村がほんとに心配してるのは伝わってる。
「うん。ありがと。美村」
園田は横でキラキラしてた。
さて、昼休み。
俺と平野は風紀室へ一緒に歩いた。
「サブ風紀ってどう?」
「うん。柔道部の一年生ですごく大きかったよ。クラスのみんなもびっくりしてた」
平野は話ながら笑ってる。
よかった。平野の辛そうな顔や泣き顔の方をよく見てた。
こんな風に楽しそうにしてるのを見て、俺はホッとした。
「『自分!御影先輩にしっかりボディガードするよう言われてるんで!頼りないと思ったらガンガン言ってくださいっす!』って大声で言われてびっくりしちゃった」
「ええ!? マジで」
ハッ! アレだ。ハリウッド委員長になら抱かれてもいいっていうガチの人だ。
平野は大丈………大丈夫か。ガチの人はガチムチが好きらしいしね。
そんなこんなで風紀室に到着だ。
「姫。待ってたぞ。高槻が弁当開けさせないんだよ」
「千尋。弁当は守ったからな」
高槻先輩。あんた弁当の守護神かよ。
風紀室のテーブルの上でタッパーのフタを開けた。
「おかずは多めに作ったんで、西宮副委員長と中津先輩と平野も、よかったら摘んでください」
委員長のも作ることになったし、ひとりずつの弁当箱じゃなくて、大きめのタッパーに詰めてきたんだ。
唐揚げと卵焼きとコンニャクのピリ辛ステーキとタコさんウィンナーとポテトサラダとナポリタンだ。
おにぎりは海苔巻いたやつが梅干で、ゴマをまぶしたやつがかつお節だ。
「これ有栖川くんが作ったの!?」
「うん。おおざっぱだけど」
「そんなことないよ。美味しそうだ」
西宮副委員長がお茶を入れてくれた。
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