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千尋とシャイニングウィザード1
あれから一週間。
心配してたような事は何もなく、平々凡々とした毎日が過ぎていった。
平野が風紀室でご飯を食べるって言ったら、桜ノ宮は「そうなんだ。楽しそうだね」とだけ言って、特に干渉もしてこないらしいし。
金髪変態男の親衛隊も大人しい。
なんか肩透かしをくらったみたいだ。
まぁ、相変わらず、お昼は風紀メンバーと一緒に食べてる。
あのお弁当が好評だったようで、メインの昼飯は各々買ってくるんだけど、俺は一品だけおかずを作ってくるようお願いされてた。
ちょっと多めに材料費を貰って、「お釣りでお菓子でも買え」って言われた。子供か、俺は。
ちなみに今日は肉じゃがだ。
高槻先輩が今朝、風紀室に持ってってくれた。
チャイムが鳴って、午前の授業が終わる。さて、平野に声かけに行こ。
「有栖川。ちょっといいか?」
「はい?」
教室を出たところでホスト教師に呼ばれた。なんだろ。
「ここじゃなんだ。理科準備室に来い」
昼休憩が短くなるじゃないか。とか思いつつ、俺はホスト教師についてった。
[side 平野]
「平野君ている?」
授業が終わって有栖川くんとお昼に行こうと思ってたら、教室の入り口で僕を呼ぶ声がした。
「あ。僕です」
見たことない生徒だ。ネクタイの色は一年だから、他のクラスの生徒だ。なんだろう。
「有栖川君に伝言頼まれたんだけど。今日、ケータリングのコロッケ買いに行くからって」
「コロッケ?」
「うん。いっつも売り切れちゃうから、有栖川君ダッシュしてったよ」
有栖川くんらしいや。
「だから、裏庭で合流して一緒に風紀室行こうって。片翼の天使像のとこで待ってるって」
「分かった。ありがとう」
僕はお礼を言って、教室を出て裏庭へ向かった。
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