218 / 306

千尋とシャイニングウィザード1

あれから一週間。 心配してたような事は何もなく、平々凡々とした毎日が過ぎていった。 平野が風紀室でご飯を食べるって言ったら、桜ノ宮は「そうなんだ。楽しそうだね」とだけ言って、特に干渉もしてこないらしいし。 金髪変態男の親衛隊も大人しい。 なんか肩透かしをくらったみたいだ。 まぁ、相変わらず、お昼は風紀メンバーと一緒に食べてる。 あのお弁当が好評だったようで、メインの昼飯は各々買ってくるんだけど、俺は一品だけおかずを作ってくるようお願いされてた。 ちょっと多めに材料費を貰って、「お釣りでお菓子でも買え」って言われた。子供か、俺は。 ちなみに今日は肉じゃがだ。 高槻先輩が今朝、風紀室に持ってってくれた。 チャイムが鳴って、午前の授業が終わる。さて、平野に声かけに行こ。 「有栖川。ちょっといいか?」 「はい?」 教室を出たところでホスト教師に呼ばれた。なんだろ。 「ここじゃなんだ。理科準備室に来い」 昼休憩が短くなるじゃないか。とか思いつつ、俺はホスト教師についてった。 [side 平野] 「平野君ている?」 授業が終わって有栖川くんとお昼に行こうと思ってたら、教室の入り口で僕を呼ぶ声がした。 「あ。僕です」 見たことない生徒だ。ネクタイの色は一年だから、他のクラスの生徒だ。なんだろう。 「有栖川君に伝言頼まれたんだけど。今日、ケータリングのコロッケ買いに行くからって」 「コロッケ?」 「うん。いっつも売り切れちゃうから、有栖川君ダッシュしてったよ」 有栖川くんらしいや。 「だから、裏庭で合流して一緒に風紀室行こうって。片翼の天使像のとこで待ってるって」 「分かった。ありがとう」 僕はお礼を言って、教室を出て裏庭へ向かった。

ともだちにシェアしよう!