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千尋と変態と逆効果1[side 高槻]
[side 高槻]
俺と委員長は一瞬ぽかんとしてしまった。
だが、すぐにハッとして千尋とそいつを引き離した。
「千尋! 大丈夫か!?」
「このクソガキ。何してやがった!?」
委員長がその生徒を持ち上げて立たせ、大外刈りで投げ飛ばした。
「がッ!!」
したたかに背中を打ち付けて、そいつはガクリと失神したようだ。
「千尋! 大丈夫か!? いったい何が………!?」
急いで抱き起こすと、千尋はガバッと飛びついてきた。
俺の首に両腕を回して抱きつき、両脚を腰に絡めてしがみついた。俺は思わず両手で千尋の腰を抱いて支えた。
「ち、千尋!?」
「俺、あの変態やっつけたよ! すごくない!?」
テンションの上がった千尋が満面の笑みで俺を見た。こんな時なのに、その笑顔にドキリとしてしまう。
千尋はアハハと笑って、ぎゅっと俺にしがみついた。
「無事でよかった………!」
俺も強く抱きしめて、安堵のため息を吐いた。
「コラ。駅弁ファックでイチャつくんじゃない」
委員長が千尋の脇に手を入れて、抱き上げて俺から離して地面に降ろした。
「だって、俺って意外と強いのかも!」
千尋は委員長を見上げて、子供みたいに笑っている。委員長は呆れ顔だ。
「お前なぁ。あいつお前の言葉責めで喜んでたじゃねぇか。腕ひしぎで丁度お前のちんこが腕に当たっ………もが」
俺は慌てて委員長の口を塞いだ。こんなに嬉しそうに笑ってる千尋に聞かせる言葉じゃない。
「委員長!」
「………」
委員長はジト目で俺を見た。
「なに?」
「なんでもない。千尋、よく頑張ったな」
千尋の頭を撫でると、千尋はえへへと照れたように笑った。
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