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千尋と変態と逆効果2
[side 千尋]
俺はギリギリと変態を腕ひしぎ十字固めで絞め続けた。
「この野郎! ギブアップか!?」
「まだまだぁ~、あぁあ! もっとくださいぃ!」
くっそ! なかなかギブアップしないな。
「黙れ! 変態! お前、平野に何しようとしてやがったんだ!?」
「はい。変態です~!」
認めた。こいつ認めやがったよ!
「千尋ッ!」
高槻先輩の声がして、変態から引き剥がされた。あっという間に高槻先輩の腕の中だ。
「このクソガキ!
なにしてやがったんだ!?」
委員長が軽々と変態を持ち上げて、バーン!と放り投げた。
すっげぇ! さすがハリウッド筋肉!
「千尋! 大丈夫か?」
俺はちょっとテンション上がってて、フットサルでゴールが決まったときみたいに、高槻先輩にコアラみたいにピョンっと抱きついた。
「やっつけたよ! すごくない?」
だって、ずっと女みたいに守ってやるだのなんだの言われてたんだ。
確かに有栖川千尋の体は華奢だし軟弱だ。でも俺だって男で、ちゃんと自分の身は自分で守れるって思えて嬉しくなった。
「駅弁ファックでイチャつくんじゃない」
委員長が下ネタ言いながら、ベリッと俺を高槻先輩から剥がした。
「だって、俺って意外と強いのかも!」
「お前なぁ。あいつお前の言葉責めで喜んでたじゃねぇか。腕ひしぎで丁度お前のちんこが腕に当たっ………もが」
何か引っかかるような事を委員長が言いかけたが、高槻先輩が止めた。
「千尋。頑張ったな」
高槻先輩がヨシヨシと俺の頭を撫でた。子供扱いだが、まぁいいか。
「だが、千尋。無茶はするなと言っているだろう。なぜすぐに俺を呼ばなかった」
高槻仏陀のお説教タイムだ。
「おい、後にしろ。行くぞ」
委員長が変態を米俵みたいに担いだ。やっぱり馬鹿力だなぁ。
「その変態どうするんです?」
「この『変態』は反省部屋に一旦隔離だ。その後、尋問する」
げぇ。反省部屋なんてあんのかよ!? おっそろしいな。ホモの巣窟学園は。
「まずはお前と平野だ」
「平野は大丈夫!?」
「ああ。西宮達と風紀室にいる」
そう言って委員長は歩いてった。俺は高槻先輩に肩を抱かれて、委員長に後を歩いてった。
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