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千尋と1仏陀と1ベッドの夜1
夜は三人でコロッケとすき焼きを食べた。遠慮してたけど、一番風呂は平野に入らせて、俺と高槻先輩は皿洗いをした。
「お先にすみません」
風呂上がりのほかほかした平野がリビングに戻ってきた。
「じゃあ次、高槻先輩入ってください」
「千尋が先に入れよ」
あ、こりゃキリないな。主婦の譲り合いに発展しそうだったので、俺は先に風呂に入る事にした。
「じゃあ、お先に。平野は先に寝てていいよ」
「あ、じゃあ僕ソファで寝させてもらうね」
「ソファじゃしんどいだろ。俺の部屋で寝ていいよ。ベッド一個しかないから、一緒に寝ることになるけど、俺も平野も細いから大丈夫だろ」
「駄目だ」
「えっ?」
間髪いれずに高槻先輩が急に厳しい顔で言った。
「あっ、僕ソファで大丈夫ですから」
「いやいや。平野はお客さんポジションなんだから。俺がソファで寝るわ」
「そんなのダメだよ!」
「分かった。平野は俺の部屋で寝ろ。俺がソファで寝る」
「そっ、そんなことできません!」
高槻先輩の言葉に平野が青くなった。なんだなんだ。男が集まって、寝る場所で揉めるとか。
「よし。俺と高槻先輩が一緒に寝て、平野が俺の部屋で寝ればいいじゃん」
高槻先輩とは同室生活で慣れてるし、その方が平野も気楽だろ。
「………」
「………」
ん? 平野と高槻先輩がフリーズしてる。
「もしかして、高槻先輩イヤでした?やっぱり俺ソファ………」
「いやっ! 嫌じゃない。嫌じゃないが………」
「じゃあ、これでベッド問題は解決ね」
俺は平野を自室に案内して、寝巻き替わりのTシャツとスウェットを持って風呂場に行った。
なんか高槻先輩も平野も、ちょっと赤くなってる気がしたけど………気のせいか。
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