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眠り姫とコミュ障の王子様1

教室に戻ったところで、メールの着信音が鳴った。 「あ!」 ナウシカ兄さんだ! 俺はすぐにメールを読んだ。昨日の事で、俺を心配する内容だった。 『全然大丈夫! あの新聞嘘だから。俺だから、やっつけたの。シャイニングウィザードぶちかましてやったんだ~』と、返信した。 『無茶しちゃダメだよ。心配だから』 『明日、早朝散歩に行くから。ナウシカ兄さんも来れたら来て』 俺はそうメールした。けど、それきりナウシカ兄さんからのメールは来なかった。 ………避けられてるのかなぁ。 俺はちょっとヘコむ。でも、それなら心配してメールなんてしないと思う。 一度、ナウシカ兄さ………じゃなくて、蓮とはちゃんと話がしたかった。 「アリスちゃん? どしたの?」 「なんでもない」 ホスト教師が教室に入ってきた。 「お前ら、昼休みは終わりだぞ! さっさと座れ」 うちのクラスのチワワ系が「きゃー先生カッコイイ!」と女子みたいに騒いだ。 いつも通りの一日が過ぎていった。 【side 西京極】 夜遅く、寮の裏に一年生を呼び出した。 平野が襲われた事件から、夜中に外に出てる奴はいないから、誰にも見られなくて好都合だ。 「………これ」 僕は渡された鍵を受け取った。 「こんなことして、大丈夫なんですか?」 大人しそうな一年生は怯えたように言った。 「大丈夫。問題無いよ」 僕はにっこりと笑って答えた。この一年生は枚方のお手つきだ。 何かの役に立つかもしれないと、僕は数人の生徒の弱味になる情報を常に持っている。 この一年生の場合は、枚方とキスしてる写真だ。 こいつは古い家柄の一人息子で、寮長との淫行を親に知られれば、すぐに学校を辞めさせられて軟禁になってしまう。 写真をネタに枚方の部屋へ行かせ、反省部屋の鍵をくすねさせたんだ。 「はい。写真ね」 僕はにっこり笑って、例の写真とデータを渡す。いざという時の為に予備は取ってあるんだけどね。 「枚方の部屋に戻って、朝まで一緒にいるんだ。せいぜいサービスして、朝までぐっすり眠らせておいて」 「な、何をするつもりなんですか?」 「知らない方がお互いの為だよ。明け方、鍵は返すから。学生寮の裏に来て」 「………分かりました」 一年生は不安げな顔のまま、枚方の部屋へ帰っていった。 僕は手の中の鍵を見て薄く微笑んだ。

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