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眠り姫とコミュ障の王子様2

明け方、反省部屋の鍵を手に学生寮の外に出た。 さすがにこんな早朝には誰も出歩いていなかった。 「!」 物音がして、慌てて身を隠すと有栖川千尋が学生寮のエントランスから出てくるところだ。 こんな朝早くにどこへ? でも丁度良い。 僕は急いで反省部屋へ向かった。 【side 千尋】 早朝く起きて、高槻先輩に見つからないように俺はこっそり部屋を出た。 ナウシカ兄さんから返信は無い。 来るかどうか分からないけど、とりあえず俺はいつものリスの木の所まで歩いた。 「来てないかぁ………」 俺はため息を吐いた。 「あ」 カササッとリスが下りてきて、俺の頭の上に登った。 俺も覚えてもらえたんだよね。 「ごめん。俺、クッキー持ってないんだよ」 そう謝ると、リスが俺の髪の毛を小さな手でわしゃわしゃにした。 「わっ。ごめんって」 急にリスがビクッとして、さーっと木の上に逃げってた。 「?」 カサッと音がして振り返ると、昨日の変態が立っていた。 「お前! なんでここに!?」 「………君がカギを開けてくれたんでしょ。ついてきてって言ったでしょ」 「はぁ!?」 「………う、嬉しかった。自由にしてくれて。こうして、誰もいないところで待っていてくれて」 淀んだ目つきでうっとりと俺を見ながら言った。 やばいやばい。こいつ、あかん奴だ。 俺はじりじりと後退して、逃げる準備をする。 「早まるなよ。人生いくらでもやり直せる。お前はまだ若いんだ」 「に、逃げないで」 逃げるわ! ボケ! 俺は踵を返してダッシュしたが、 「うわっ!」 すぐに捕まってしまった。背後からガバッと抱きかかえられる。 「お前! 昨日、俺にやっつけられたの忘れたのか!?」 「ああ………すごく可愛かった。弱い力で一生懸命で………あんなに触ってもらえたの初めてだよ。 耳元で囁かれて、ぞわわっと鳥肌が立つ。 「やめろ! 離せ!」 全力でもがいて、踵でガツガツとそいつの脚を蹴るが全然効いてない。 「細くて、弱い………すごく可愛い」 「弱い弱い言うな! ふざけんなっ! このへんた………もが」 「しーっ。静かに。一緒に逃げよう」 そいつは妙に甘ったるい声で言った。 俺の口を塞いで、軽々と抱きかかえたまま歩き出した。 嘘だろ!? 今回はマジでヤバい!!

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