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千尋とハリウッド委員長1

【side 千尋】 「あ」 授業前、委員長からスマホにメールがきた。 『南方に聞いた。一限目はサボれ。教師には言ってある。風紀室に来い』 うげぇ。さっそくか。 「有栖川。ちょっと来い」 俺がスマホと睨めっこしてると、ホスト教師に呼ばれた。 教室の外に出ると「風紀室に行ってこい。授業は出なくて構わねぇから」って言われた。 知ってたけど、風紀の特権てすごいな。 「また何かあったのか?」 要先生が俺の肩にそっと手を乗せて聞いた。 「いえっ。大丈夫です」 顔を上げてホスト教師の顔を見て、おや?と思った。 「あれ? 先生、髪黒くした?」 黒ってゆうか焦げ茶か。髪もちょっと短くなったし、なんか落ち着いた感じになってる。元ホストみたい。 「………ああ、まぁな」 ホスト教師はちょっと気まずそうに、ぽりぽりと頭を掻いてる。 「その方が良いですって」 俺はニカっと笑った。もともとイケメンなんだから、背も高いし(ムカつくが)こっちの方がもっとモテそうだ。 「有栖川」 おっと。 俺は元ホスト教師の手をひらりとかわした。セクハラのパターンがなんとなく分かってきたぞ。 「風紀室行ってきまーす」 空中で両手が固まってる要先生にそう言って、俺は早歩きで風紀室に向かった。

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